コピー自由&ライセンス化する欧米の音楽業界、日本は?
2009年01月21日
アップル社が、iTunes Storeで配信している楽曲のコピープロテクトをすべて廃止する、と発表して話題になっています。
これまでは、ソニーの「ウォークマン」などに入れて持ち歩けなかったんですね。それが、ウォークマンだろうが、Macだろうが、どこでも再生できるようになります。買う側としては、便利なんだけど、アーティストの方はどう思っているんでしょうか。
ただし、欧米のみで、日本のiTunes Storeで販売しているJ-POPなどの楽曲は、基本的には適応されないそうです。
ソニー・ミュージックエンタテインメント傘下のレーベルなどはそもそもiTunes Storeでの音楽配信そのものを拒否している。「コピー10」に象徴されるように、未開国日本ではどうしてもデジタルコンテンツは自由にさせられない、というのが供給側の論理のようだ。(日本のユーザーはデジタルコンテンツの破壊者かより)
なんでも、アップルはDRMフリーにしたいのだけど、日本のレコード会社が今のところはダメって言っているんだそうです。この様に、アメリカ、英国、フランスはDRMフリーなんだそうですが、日本は諸事情が重なって実施されないようです。
日本の有料楽曲販売では「mora」が曲数が多いのですが、ソニーのウォークマンを販売して、楽曲をmoraで購入してもらうという流れができていますので、自由化の流れは難しそうです。先日、知り合いがソニーのウォークマンを買っていて、曲はmoraで買えるよって話をしていた所です。
これは有料販売しているサイトの場合なんですが、海外ではさらに、合法的に無料で聴きまくれる、ライセンスビジネスという形態で運営されている音楽配信サイトが増えてきています。
■欧米はライセンス・ビジネス化が進む
「音楽業界の主要収入源はデジタルライセンスへシフト」という記事によると、米Forrester Researchの欧州部門が、「無料に打ち勝つには無料しかない」と、デジタルライセンス収入が今後、欧州の音楽業界における主要な収入源になっていくと予測を発表しています。
これは欧州6カ国、英国、フランス、ドイツ、、イタリア、スウェーデン、スペインの調査結果です。
Forrester ResearchのMark Mulligan氏の話では、「古い音楽業界の中心的な原則、出荷数やアルバムセールスなどは、オンデマンドなデジタル世界では役割が小さくなる。21世紀の音楽業界はより複雑で洗練された世界であり、消費を収益化することが要求される。デジタルライセンス売り上げが、これを行うための新しいビジネスモデルのいしずえとなるだろう」と将来はライセンスビジネスが主流になると予測しています。
つまり、楽曲は無料にして、サイトなどの広告収入で売り上げて分配するという流れです。すでに、imeemやSpiralFrogなどの音楽配信サイトがこうしたライセンスで運営されています。この無料で聴きまくれるというのがポイントです。
■無料で聴き放題の「mixi Radio」
そこで、日本は?と気になるところなんですが、おもしろいサービスがあります。
日本では、mixiミュージックの中で、mixi Radioというのがありますが、これが便利なサービスになっています。クリックするだけで、試聴ページが立ち上がって、フルで楽曲が聴けます。無料だと10万曲程度が聴けるそうなんですが、メジャーアーティストの楽曲も多数含まれています。
mixiでは、ページビューの増加などのシナジー効果を期待してのサービスインだと思いますが、ちょっと聴きたい人には、もってこいのサービスと言えそうです。(ただし、最新曲とかではなく、過去のアーカイブ曲が中心なので、まだ物足りないという方も多いかと思います。)
これで、いくつかのラジオ系の音楽サイトが必要なくなっちゃうんじゃないか?と心配になるくらいです。
そういえば、ここ数年で増えた音楽配信サイトも、どんどん無くなってきています。有料楽曲販売のサイトも無くなってきています。インディーズ音楽配信サイトも、バタバタ無くなっています。
例えば、インディーズ音楽配信サイトでは、収益化する方法は、主に3つあります。1つめは、まずアクセス数を上げて、広告売上を得る。2つめは月額で掲載料金をもらう、そして3つめは有料で楽曲を販売する、というのが主な収入源になります。
ちなみに、mixiでは広告売上と課金売上の2つで、ほとんどが広告収入です。2009年3月期(2008年4月〜2009年3月)の決算短信を見ると、「mixi」の売上高は26億2000万円で、広告の売上が24億7000万円で、課金売上が1億4900万円なんだそうです。笠原社長は、今後はmixi Radioの有料会員を増やして、課金売上を伸ばしていきたいとコメントされています。
この様に、ネットでは膨大な会員数や資金があって、相乗効果で運営できる所が優位に立てます。なので、他の音楽サイトは、こうしたサイトのやらないニッチな分野に絞り込んでサービスをやるという形にしないと、残れなくなります。
それから、今後はアーティストやクリエイターの方がどうやって、収入をもらうのかが非常に気になります。
人気があって、話題を集めてくれる作品があればアクセスが増えますので、運営者側にはありがたいわけです。なので、アクセスを集めてくれるアーティストには多くの見返りを渡すという流れになるのではないでしょうか。
運営側としては、人気のアーティストをどれだけ集められるかという事と、とにかく登録者を集めて、その全体の数でアクセスを上げて広告収入を増やしていく、ロングテールな方法を模索していく事になるのでは。
これはmixiならではの会員数の強みを活かしたサービスなんですが、これだと今後の曲数の増加によっては、広告売上や有料会員も集まる可能性があります。それにより、ますます大きなサービスになっていくかもしれません。
■コピー自由&ライセンス化する欧米の音楽業界
この様に、日本のサービスを見ていると、DRMフリーという流れをなんとしても食い止めたいという考えが見えてきますが、mixiミュージックの様に、邦楽が聴き放題というサイトも登場してきました。
世界的にみてみると、iTunesとiPodの様な携帯オーディオとカタログサイトが連動した有料ダウンロードサイトと、ライセンス方式のソーシャルネットワーキング型のサービスが支持されていて、MySpaceやmixiなどの音楽SNSの役割がますます重要になってきていますね。
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